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ピラティスの難点

  • 執筆者の写真: 桃子 吉永
    桃子 吉永
  • 6月19日
  • 読了時間: 4分

更新日:7月3日



ピラティスなどのインナーマッスルを重点的に働かせるエクササイズの難しい点は、「使うべき筋肉は使い、使うべきではない筋肉は極力使わない」というコントロールをするというところにあります。


例えばピラティスで行う腹筋エクササイズは多くの場合、腹筋のインナーマッスルである「腹横筋」を働かせようという目的を持っています。このとき、腹筋のアウターマッスルである「腹直筋」は極力使わないようにしなければなりません。なぜなら腹直筋がメインで働いてしまうと腹横筋が使えないからです。


で、言葉で言うのは簡単、実際にやってみると初心者の方は特に腹直筋がどうしても働いてしまいます。


そもそも腹直筋がメインで働いている状態がどんな体感で、腹横筋がメインで働いている状態がどんな体感なのかすら、最初は区別がつかないのが当然です。


概念すらなかったところから知識として知って、そこに意識を向けて繰り返しああでもないこうでもないと練習していく中でわずかな感覚の違いを感じ、そこを育んで最終的には明確な使い分けができるようになるわけです。


ちなみになぜ腹直筋を使わず腹横筋を使うべきなのかということについても、いろいろな理由があるわけですが、その辺もやはり理解した上で取り組んだ方がより身に付くでしょう。


代表的な理由をざっくりと述べると、


インナーマッスルは骨を正しい位置に保持し、関節を最大可動域まで動かすときに働く筋肉であり、アウターマッスルは外部からの衝撃から身体を守るためにある筋肉で、それゆえ関節の動きを制限する役割があるので、動きの機能向上を目的とするなら身体のあらゆる箇所にあるインナーマッスルを使うべきという点があります。


例えば腹直筋は骨盤と肋骨をつなげている筋肉なので、鍛えると後屈や回旋運動がしづらくなります。そしてこれは沢山の身体を見てきた経験上の話となりますが、腹直筋をバキバキに鍛えると便秘になりやすいという傾向があったります。


その点、腹横筋は関節に制限をかける構造にはなっておらず、腹横筋が働くことで腰椎を常に正しい位置に保持できます。


だから腰痛の方にはできれば勉強してほしいですね。逆にいうと、すでに腰痛であるということは腹横筋が働きづらい状態になっている可能性が高いです。と同時に腹直筋が過緊張している可能性があり、そうなると腹直筋の疲労を先に取らないと、エクササイズをやったところで腹横筋が働く感覚が全くわからないというケースは往々にしてあります。


・・


と、こういった背景があり、身体は一般の方が思うほど単純ではないので、だからYouTubeやショート動画などでサクッとやり方を知るだけでは無理がありますよと私は考えています。そもそもやり方ではなく、自分の身体のことを知らないと。


簡単そうに見本を見せる先生の身体と素人の身体とでは大きな違いや差が多々ありますから、タイムラインに流れてきた動画を見ただけで同じことを自分の身体で再現することはかなりの無茶です。それで成果が出ないと思われてしまうとエクササイズや身体の動きに対する理解や指導の価値が誤解されたままになりかねないので私はいつもそういう動画をSNSで目にすると憂いてしまいます。指導者が自分で自分の首を絞め、運動界隈の業界の価値を下げているように見えるのです。


大人数で行うグループレッスンも、ピラティスのインナーマッスルをメインで使うエクササイズを正しく理解するには全く不向きだと思います。辛口となりますが、私に言わせれば”エセピラティス”は巷にたくさんあると思います。


とはいえ私がやっていることが果たしてピラティスなのかということも疑問ですが、私がピラティスを指導する際は、全ての動きを呼吸筋やその他インナーマッスルから始め、無意識の動きのくせを改善すべく、別の新しい神経回路を開拓するつもりで指導しています。


本人が無意識の動きのくせに気づいたり、本来使うべきではない筋肉を過度に使っていることに気づいたり、逆に本来使うべき筋肉が働いたときの体感を自覚し定着させることが「身につける」という始まりであり、さらには不調が訪れたときに「この場合どうすれば回復できるか」ということにある程度回答を持っている状態になってもらうことを最終ゴールとしています。


・・


一つのトピックについて誤解を与えず最低限の要件を満たして書こうとすると、どうしても長ったらしい文章になってしまうわけですが、長年身体の問題が解決していない人や、こういう世界に関心がある方はぜひ、私の対面指導を受けてみてください♩ https://www.enmusuhi.com/service



 
 
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