生徒さんの骨折体験から始まったお話
- 桃子 吉永
- 3月17日
- 読了時間: 5分
更新日:3月17日
昨日は『東京・月一稽古』の日だったのですが、生徒さんと話しているうちにここ最近、頭の中にあったことが一気にワッと出てきて縦横無尽に話まくるという面白い展開がありました。
今回はその余韻を残すべく、話した内容のメインの要点を簡潔にまとめた他、キーワードを羅列しておこうと思います。
●生徒さんの手首骨折体験レポートからの対話
・整復で起きた不思議体験
整復前は一歩も歩けない感覚だったのに整復した途端、歩き方を思い出して無意識に歩いていて自分でもびっくりした。
→日常動作など普段は無意識に行なっている複合的・自動的な動きのメカニズムは海より深いのかもしれない
・桃子流のアイシング法を徹底的に実践
術後の患部の皮膚はガサガサに荒れるが、適切にアイシングすると皮膚がサラサラになり、ガサガサ状態が劇的に回復する。(もちろん炎症や腫れもかなり早く回復する)
→医師も驚きつつ「治りが早いですね」と言っていたとのこと。(いや、早いですねじゃなくて、アイシングの重要性や適切なやり方くらい知っておいてくれよ、、私の心の声)
・受傷から1ヶ月半後に稽古を受けての気づき
骨折以外の打撲、精神的ショック、全身麻酔、入院生活、車椅子生活などによって体力・筋力も低下し、稽古前の身体の動きは明らかにバランスを崩していたが、身体とは最も問題のある箇所のみに意識がいくようにできているため、ご本人はわりと無自覚だった。
合計4時間のケアストレッチ・ピラティス・バレエエクササイズの稽古を経て、稽古後はいつも通りの動きを大分取り戻せた。
→身体は「安静ではなく、適切に動かして回復させるが吉」の証明
→1ヶ月半ぶりに直接指導という介入があって初めて他の部位に意識が回り、身体の他の部位への悪影響が起きていることを認識し始め、今までの本人の努力によって身につけていた身体操作の感覚(理にかなった動作の感覚)を動きの中で一つずつ丁寧に思い出していくことで、あらゆる関節や筋肉が(その人が出来うる)ベストな動きを取り戻し、最終的に「私の身体はこういう感覚だった」という受傷前の身体の記憶が蘇って終了。
→これは身体操作の技術を学び、身につけていることがいかにこういうときに力を発揮するかの良い事例であり、また私にとっては、受傷から始まった非日常かつ不快・不安な刺激の連続が、それまであった感覚を一気に失わせ、ネガティブな判断をとりがちになるという背景を知ることができ良い勉強となった。
●外傷など急性的な要因部分の回復は早い。何十年とかけて生まれた慢性的なものの方が圧倒的に時間はかかる
「今年中に治すぞ」という意気込みを持つこと自体は問題ない。
ただし、それが思い通りにいかなかったときにがっかりしないこと。
「身体を思い通りにしたい」という執着によって一喜一憂してしまう人は多い。
補足:何十年とかけて生まれてきたものを、例えば「1年以内に」と自我さんが思うのは別に良いのだけど、身体さんの事情はそうじゃないかもしれないことをわかってあげてほしい。あるいはもしそれを本当に叶えたいなら、プロ野球選手が戦線復帰のためにリハビリに挑むくらいの覚悟があるなら可能性は十分ある。身体さんの視点に立てば、自我さんの見えている認識が甘いということはよくあることです。(身体の代弁者より)
(もう一言言わせてもらうと、あなたが気づかない間の数十年間、どれだけとある関節や筋肉や靭帯や皮膚が過度な負担をずっと背負ってきたと思っているんですか・・・!むしろ何があっても健気に支えてきた最も慈悲深いヤツなんですよ。。)
身体さんの事情がわかれば、見方もおのずと変わるはず♩
●その他のキーワード
・社会がないと人間はやばい
・人間は過剰だから(というか普通とか平均とかいう概念自体が本来はないのだから)あっちにもこっちにもいく
・バランスが大事で、一定の倫理を維持するために良識のある知識人や権力者などを中心にがんばってくれている人もたくさんいるのでしょうが、そもそも80億人もいるんだもん、難しすぎるよね
・ネアンデルタール人は身体が大きくて戦力が高いが、少数精鋭で生きていた結果、知恵が足りず絶滅
・ホモサピエンスはMAX150人のグループで移動していたから知恵が集まり武器がどんどん鋭利に。今に至る(まだ絶滅していない)。
・西洋的美意識を内面化している現代人
・ルッキズムの加速
・美容整形
→人が自分を見る目が変わるという体験
→承認欲求
→とはいえありのままの自分でいいという考えもどうかと思う。どっちも歩み寄ろうよ。
→優生思想とも地続きとも言える倫理の問題に触れる
→コンテストに勝ちたい。ではそのコンテストはなぜ誕生したのか。そこにはどんな価値観があるのか。なぜその価値観が生まれたのか。
・健康の過剰は病的とも言える
・病気のことをそもそも悪ではないと思う人もたくさんいる
・昨今は高い知識や技術を持つトレーナーやインストラクターは以前よりかなり増えてきている
・美しく動く先生をインスタで見た人はなぜ身体づくりをしたいと思ったのか
・私は現代を生きる動きの先生として何をすれば良いか
・自分なりの倫理観を持って、より良い社会のための指標を指し示さなくちゃいけない
・身体が主体という視座、そして動くこと自体が目的・喜びであり手段であるという考え方(どこを切っても金太郎飴、曼荼羅的考え方)
・・
こんな感じで、いろんなことを考えながら仕事のことを考えています。多少、ここには書けないこともありましたが、生徒さんはみんな「面白い」と興味深く聞いてくださいました。文章にすると堅苦しいけど(補足もたくさん入れているので余計に)、実際はその場から生まれる空気によって、かなりリズミカルに喋っていたので安心してください。笑
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