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収穫体験と身体の体験と

更新日:11月8日



先日、舞踏の稽古仲間で農園をされている方のところへ収穫体験をしに遊びに行きました。前日までは雨模様でしたが、その日はお天気に恵まれて最高の収穫日和でした。


山に囲まれた緑いっぱいの場所に畑がたくさんあって、羊のエルくんとヒメちゃんがいて、そして山の神様が祀られている森が目の前にあって、太陽の光も都会でみるものとは全く違う存在に思えて、そこにいるだけでさまざまなエネルギーをもらっているような気がしました。






●久しぶりの土


収穫体験が始まる前、何よりすぐ身体が喜んだのが、土の感触です。

私はどうやら、”足裏感触フェチ"なところがあるようなんです。 畳とか新品の絨毯とか、古い寺の縁側の感触とか、足裏の感触が良いものの上を歩くときは気持ちがいいので無意識に何度も踏み踏みしちゃうんです。だから土の上を歩いたときの、なんとも言えないふかふか感に、終始うっとりしていました。


また逆に、土の上からコンクリートの上に切り替わった時の落差がすごくて(落差のイメージ的にはプールから上がったときの身体の重たさくらい)、


「普段はこんな厳しい地面の上を歩いているんだよねぇ」

「そりゃあ無防備だと足も変形するし、身体も故障するよねぇ」


ということを感じざるを得ませんでした。


ただ「土の上だから厳しくない」というわけではありません。

ふかふかな土の上では足指を使わずして歩けないので、コンクリートの上を歩くのとは別の意味で、特に足裏や裏腿などがよく働くようになります◎



●収穫体験


収穫体験は、里芋2種類とさつまいも2種類。そして青と赤の唐辛子。


まず、それまで大切に育てられた作物を何もしていない私が突然収穫するという行為自体にどこか少し罪悪感や違和感を感じながらも、教えていただいたやり方で掘り起こしました。


里芋の立派な葉の幹をスコップで突いて切り落とし、次にスコップを作物の周辺にグサっと刺して掘り起こしていきます。そのとき根っこがブチブチっと切れる音や感触がするのでそこにも少し罪悪感を感じました。


里芋は、親芋という大きな芋が中心にあって、その周りに小さな芋がたくさんついています(子芋や孫芋という)。2種類のうち、「海老芋」の親芋は食べられますが、「女早生(おんなわせ)」の親芋は食べられないのだそうです。


今まで一体だった芋たちを一つ一つもぎ取っていくわけですが、そこにもほんの少し罪悪感を感じながら、と同時にもぎ取るときの感触の面白さも感じながら、夢中になって作業をやっていました。

さつまいもの収穫では里芋よりは罪悪感も少なく、宝探しのような気持ちで楽しく掘ることができました。3名で並んで掘ってみると、それぞれ大きさや形や量には結構違いがあり、掘ってみないとわからないもんだなと思いました。


立派なお芋たちをたくさんいただくわけですが(しかも格安で)、収穫しながら調理の仕方やレシピなどを教えてもらうと想像が膨らみ、きっとうまく食べることができるだろうと思えました。里芋の海老芋(の特に親芋)と、さつまいもの鳴門金時はポテトサラダにして食べると美味しいとのことなので、必ずや作ろうと思います。



(左上が鳴門金時、右上が安納芋、左下が女早生、左下がエビ芋、中央が唐辛子と畑の道端でもぎ取ったキウイ)


●食べる


ちなみにさつまいもはできれば2ヶ月寝かせたほうが良いので、実際に食べるのはちょうどお正月ごろになりそうです。里芋はすぐに食べたほうがおいしいということだったので、まずは早速、2種類をそれぞれ湯がいて食べ比べをしてみました。




泥をしっかり取り皮付きのまま湯がいていると、お湯がだんだん赤くなっていきました。20分くらい茹でると爪楊枝がスッと入るくらいになり、ざるに移ししばらく経ってから皮を剥くとニュルっと簡単に剥がれました。


湯がいているときの、土がなくなった里芋の姿はなんとも立派でなんだか可愛くて、やはり罪悪感や違和感を持ちながらであっても、足を運んで収穫して調理する食べ物への思いはスーパーで買ってくるものとは全然違うなと感じました。





左が女早生で、右が海老芋です。

前評判どおり、女早生は煮物に適した崩れにくい里芋で、海老芋はホクホクしていて「絶対にポテサラに適している!」ということは容易に想像できました。


今回は超簡単にミネラルたっぷりの塩のみでいただきました。

お味はもちろん、とても美味しかったです。声に出して「おいしー!」と叫びました。



●身体の状態と美味しい食材


ちなみにここからは身体体感オタク的な考察になりますが、まず収穫の翌日のこの日はそれまでの寝不足を解消すべくしっかり10時間くらい睡眠をとりました。起きると足裏が筋肉痛になっていて、あらゆる身体のズレを感じていたので食べる前に身体を整えていました。


その上で、他のご飯と共に里芋を食べたので、お腹いっぱいになってちょっと食べすぎたなと思ったのですが、睡眠不足解消+身体調整+大切に育てられた無農薬無化学肥料の里芋というトリプル効果によって、時間をかけて消化されていく過程がとても気持ちよく、身体が喜ぶ食物を食べたのだなということがよくわかりました。


※足裏が筋肉痛になったのは、行きの電車に遅れそうになり駅まで1kmほど走ったことが大きな原因です。道が下り坂なので足裏にかかる衝撃が余計に強くなりました。ただ普通の人なら多くは前腿や脛に筋疲労が起こりがちなのですが、私は決まって足裏ばかりが筋肉痛になります。【※※※これは自慢です※※※】


ただこの日はさらに畑のふかふかな土の上をよく歩いたことも筋肉痛が増強した要因だと思います。(←これは良い意味の増強です)ふかふかな土の上では足が沈むので沈まないように無意識的に足指をよく使うようになります。なので長時間足裏耐久レースを同時に行っていたという感じです。(←ちょっと意味がわかりませんかね。。)



●エルくん・ヒメちゃんとのふれあい


さつまいもの蔓はエルくんの大好物とのことで、農園のみかこさんが蔓をたくさん抱えてエルくん・ヒメちゃんのところに連れて行って下さいました。



左がエルくん、右がヒメちゃん

(ヒメちゃんはさつまいもの蔓よりかぼちゃの葉が好きなんだそう)


エルくんとヒメちゃんの毛を刈って、キレイにしてその糸を紡いで様々な作品を作られているのだとか。ほんと、控えめに言って素敵すぎる生き方だなといつも思っています。



●山の神様へのご挨拶と自主稽古


収穫体験の締めくくりとして、目の前にある森の中に祀られている神様のところにご案内してくださいました。この森周辺はおそらく縄文時代から人が住んでいて、その後、古墳時代に古墳が造られた可能性があるらしいです。だからなのか、森の入り口はこんもりとしていて盛り上がった地形をしていました。縄文時代からこれまでずっと、人が祈り続けてきた場所。縄文時代って1万年以上、昔の話ですから、、、にわかに信じがたい奇跡です。





そこでみかこさんが、山の神様にお花を捧げるというテーマで、稽古仲間3人で外稽古をしてみましょうと提案してくださいました。


野に咲く花を摘み、動きに迷いが生じないようにある程度細かな手順を決めた上で、森の外からゆっくりと歩いて森の中へ入り、神様の前に3人で並んだら一人ずつお花を捧げ、お辞儀をしてから森の外へ歩いていく、という流れで行いました。


私はこの森や山の神様とは初対面なので、やはり縁結び的な行為となったように思います。前回の最上先生の稽古でお茶碗に意識を移すという稽古を行ったおかげで、両手に持つお花に自然と自分の一部が移っていく感覚がありました。


神様にお花を捧げるまでの間でできる限りそれを丁寧に行いながら歩いていきました。(とはいえ準備もなにもなくいきなりの稽古ですから、いつもの稽古より全然深くは潜れていない状態だったと思います)


私は歩いていくうちに自分の身体が小さくなっていくのを感じていたのですが、それは縄文時代に生きていた人の記憶が私の身体に呼び起こされたからなのかもしれません。


花を捧げたと同時に私の何かが捧げたお花を通して完全に移った気がして、それまで小さくなっていた身体はスッと伸びていきました。そして3人でゆっくりと一礼をしたあと、背を向けて森の外に出るときが最も空間が満ちていて、まるで神様がこのご縁を歓迎してくださったように感じました。


一方、みかこさんは普段から一人でこの森で稽古を度々されているということで、つまり森や神様としっかりと繋がっているわけです。なので私たちの体験とは全然違うものだなという印象を受けました。


詳細は割愛しますが、特に稽古の終盤、面白い出来事も色々とあって、とにかく3人の一番の思いとしては、「こういうことが一緒にできる人なんてなかなかいないし、今日この森で一緒に稽古ができて本当に嬉しかった」ということです。そして願わくば、最上先生と稽古場生がここに来て、稽古ができたらいいなぁと思ったのでした。


普通の収穫体験ではあり得ない充実感で、翌朝(というか昼)の私は、子供の頃の楽しかった遠足に行ったあとの余韻のようなものを感じていました。



・・



ちなみに帰りは最寄り駅近くまで軽トラに載せていただいたのですが、私は荷台の方に乗り、これまた非日常的なドライブを楽しみ、やはりというか、スッと帰れるわけがないので、駅前の居酒屋さんで打ち上げをして、ひとしきり喋りまくって解散したのでした。



満面の笑み

(空気と土のせいか太陽の光が繊細で写真もとってもキレイです)




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