●足が大切な理由
私が最も大切にしている場所。 それが『足』です。
「脚」じゃなくて、「足」の部分ですね。
足は身体の一番下にある土台なので常に自分の体重が足にかかっています。
足はたくさんの骨と関節でできており、その小さな関節のズレが膝や股関節、腰や首肩、頭部にまで大きな影響を及ぼします。
ものづくりをしている人はこのことがよく分かっていただけるのではないかと思います。私が去年、義肢装具の専門学校で金属支柱を設計図通りに曲げる実習を受けた時、ほんのわずかなズレによって30cm先では大きなズレとなってしまうことを何度も体験しました。
身体も似たようなものです。足の骨の小さなズレが、特に膝や股関節、腰にまで悪影響を及ぼしてしまうのです。
でもその逆は起きづらいです。頭の位置を変えても、腰や股関節のポジションを整えても、足の骨のズレが改善するほどの影響を及ぼすことはできません。
また足は脳から遠いため、訓練しないと意識が向きづらい部位でもありますが、だからこそいつも足(特に足指)と共に生活する意識を作ると「自分の身体」がはっきり認識され感じれるようになってきます。
私たちはよく不具合を起こしている箇所ばかりに関心を向けがちですが、少なくとも足首、膝、股関節、腰などの故障や不調については、足の状態が直接関係していると考えても良いと思います。
ちなみに骨にフォーカスして説明するとピンとこないかもしれませんが、下半身太り、むくみ、O脚・X脚、ピーマン尻等々、そういったことにもぜーんぶ関係ある話をしています。
もちろん、変形性膝関節症、足首の捻挫、股関節痛、坐骨神経痛、ぎっくり腰、腰痛等々もです。
「足はあなたの想像が及ばないほどの重要な役割を果たしている」
そう思うくらいでちょうどいいかもしれません。
なんで私はこんなに足を擁護するのか、自分でもよくわかりませんが、いやでも働きの割にはないがしろにされていると感じているので、これを読んでくださっているあなたもぜひ足の慈悲深さに気づいて一緒に共感してほしいなと思って書いています。
●足をどのように扱うか
まず基本中の「き」は、足指をきちんと使うということ。簡単にいうと、立っているときはしっかり踏ん張るということです。
しかしこれがほとんどの人ができていません。
なぜなら私たちは、今となっては足指が使いづらい環境の中で生活しているからです。
現代の生活では、私たちは常に硬い地面の上に立っています。
砂浜や草むらや土とか、せめて畳の上に立っていれば別かもしれませんが、フローリングやコンクリートの地面は足にとっては平面で硬すぎます。(だからと言って靴にクッション性を与えれば良いという話では決してありません)
平面で硬い地面の上では、足指は踏ん張らなくても立ててしまいます。でも砂浜の上だと想像しやすいと思いますが、不安定な砂地だからこそ、自然と足指を使ってバランスを取ろうとします。そして足指を使うことで土踏まずや拳の関節のアーチ、小指側のアーチが形成されていきます。
踏ん張る必要がない平面で硬い地面の上では、この3つのアーチはどんどん崩れていきます。3つのアーチで作られたドームが崩れると、着地の度に受ける衝撃がうまく分散できなくなっていきます。分散できなかった衝撃が膝や股関節、腰などに過度にかかったり、足自体も変形していくことでその悪影響はどんどん加速していきます。
逆に足指で踏ん張れていたら、衝撃は毎回うまく分散されるので、延々と繰り返しの動作を行なっても崩れずに動かし続けることもできるわけです。
私はそれを実験するために20歳のころ24時間110kmウォーキングを行いました。足の骨のポジションがベストポジションからズレないようにテーピングを巻いて、鼻緒付きのビルケンシュトックのサンダルを履いて、食べずに寝ずに、休憩はアリで歩いたのですが、どこも故障なく、むしろ帰宅後テーピングを外したときは、今まで見たことがないくらいのキレイな形になっていて、身体のすごさに一人感動したものです。
大人はすでに大なり小なり変形しています。何も手をかけたことがない人は特に、足裏の疲労はずっと溜まりっぱなしになっています。その状態から足指で踏ん張れるようにするためには、やはり徹底的なフットケアが必要です。フットケアを併用しないと、踏ん張るという感覚がよくわからないので、私が言っていることがなかなか伝わらないでしょう。
私のレッスンではどんなレッスンでも一番最初にフットケアを行います。足なくして身体はないと思うからです。ではどのようにフットケアをすれば良いか。簡単にいうと、ゴルフボールを使って足裏をゴリゴリとほぐすのですが、やり方次第で結果は雲泥の差になります。