私は19歳から26歳までの7年間は治療家として勉強・活動していました。そのため今でも治療家として培った視座と技術がレッスンで重要な役割を担っています（特に人の身体の扱い方は、トレーナーとしてよりも治療家としての経験が圧倒的に重要です）。

ただ治療の要素だけではその人自身が体得するものや成果が得られないため結局、根本的な解決をするには難しいと感じ、現在は治療の要素に加えて身体の動かし方や身体の扱い方まで指導するトレーナーとして活動しています。

程度に関わらず、身体を回復させ、以前よりも身体の解像度が増え、生活の中で発生するあらゆる動きに翻弄されないようなしなやかな身体にしていくには（＝再創造）、まず施術やケアなどの治療要素は欠かせないと考えます。それなしで身体づくりをしていくと新たな問題が生まれたり、自分の身体をうまく感じ取れないので、結局は遠回りになってしまうことがよくあります。

不調や故障の要因となっている〈無意識の身体の動き〉は、自力で気づくことはできません。またそもそもその要因となっている無理な動き（動かし方）や動いていない関節などを適切に判断し、必要なアプローチを促していくのは指導者の役割です。

このように第三者の目があれば簡単に解決できることはたくさんあるということです。自力では数年かかって理解できる（あるいは一生理解できない）ことが、指導によって数回、あるいは数ヶ月で習得できることは多々あります。それを知ったとき、「もっと早くに知っておけばよかった」とおっしゃる方も少なくありません。指導を受けるということにはその点に大きな価値があると思います。ただしその技術はとても地味なものが多かったり、無意識の領域を扱ったりするため、その重要さがなかなか理解されない（ピンとこない）といったこともあります。そのため良い成果を出していくには、指導者と受講者の信頼関係の構築も重要な要素であると考えています。

現代社会はあらゆる技術の発展の結果、身体が劣化し、感度が鈍ってしまい、余計に身体をないがしろにしてしまう傾向があると感じています。

でも実は身体の世界は実に広大です。あなたの身体は可能性に満ち溢れています。また私としては、現代良しとされている身体の使い方にも疑問が多々あるため、多くの人にまずは私が見えている身体の世界のことを知ってほしいなと思っています。

身体を動かすということは、誰にでも開かれています。 運動が好きだったり運動神経が良い人たちだけの特権ではありません。いつもと違う動きをしたとき、身体は即座に反応し、応えてくれます。ぜひあなたもそのことを知ってください。